漱石生誕150周年に合わせ、当時の街並みや漱石晩年の家屋を内部に再現した記念館。
施設の構造は基本のRCとSに加えSRCも採用する複合構造である。
「工法的に難しいというのが第一印象。梁を支える柱が少なく、建築工事より、橋梁工事に近いイメージだった」と振り返る。
工事はRC造の地下階完成後に地上階の鉄骨建て方に着手。柱の本数が少なく、梁の支保工から先行して設置していった。
梁は最終的に建物東西両端のRC造の壁体に渡すのだが、支保工で受けながら架設していった。
屋根はSRC造の為、約40メートルの梁を架設する。梁を受ける架台は最も大きな仮設材であり、工事の初期段階に設置する必要があった。
「梁の支保工を組んだ状態では何の施設か想像つかない姿だった」ことが工事の複雑さを物語る。
仮設計画の時点で「自分の頭でイメージしたものをうまく具体化できた」ことで施工精度を高めた。
支保工を外す時は荷重に耐えられるか緊張したが、想定の範囲内で構造上問題無く完成した。
工事を進めるうえで「電機設備、機械設備、エレベーターなど専門工事会社と定例会を一緒に開き、工程や安全管理を緊密に連携した」ことが良いチームワークに繋がった。「近隣の皆様の協力を得たことも大きい。記念館がファンの期待に応え、末永く使われてほしい」と思いを込める。